マーダーミステリーは犯人以外も嘘をつけますよ?

2019.10.01

Rabbitholeの酒井りゅうのすけです。
皆さんはマーダーミステリーをプレイしていて犯人以外のプレイヤーが嘘を付けるか、付けないかというルールの違いに出会った事はありませんか?

僕は初めてプレイした時は「犯人以外は嘘がつけません。」というルールでした。その後、他のゲームの翻訳などを調べている際に嘘についての制限がないものに出会い、ふとゲーム内で使えない「嘘」と言うものに違和感を感じ始めました。

まさにタイミングを同じくしてRabbitholeの共同オーナーである白坂も同じ様なことをツイートし、それに「約束の場所へ」の発売元である台湾のゲームメーカー”Moaideas”さんが返信をされていました。

僕はびっくりです!何しろ全国にマーダーミステリーを大きく広めた作品となるであろう日本最初のマーダーミステリーの販売パッケージ「約束の場所へ」にも
『このゲームでは犯人以外は嘘を付くことができません』と記載があるからです。
これはもう直接聞いてみるしかないです!
以下は”Moaideas”の代表Afongさんとのチャットでの話をまとめた物です。

酒井りゅうのすけ

Afongさん!お聞きしたい事があります!
以前にマーダーミステリーに「嘘をつけない」なんてルールはないってツイートもされていたと思うのですが、発売された
“約束の場所へ”にはそのルールがあるかと思います。これはどうしてなのでしょうか?

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実はそれについては訳があります。この件についてMMMで記事にまとめてもらえると良いかと思います。

酒井りゅうのすけ

話がとても早いです(笑)
承知しました!記事にまとめますね!

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はい!では早速。
私が最初にマーダーミステリーを知ったのは中国のテレビ番組「明星大偵探」です。この番組で取り上げられているゲームの面白さにハマってしまいすぐにパッケージ化されている商品を取り寄せ遊んでみました。その番組の基本ルールは「犯人以外は嘘を付けない」でしたので、もちろんそれを参考に遊んでいました。

酒井りゅうのすけ

なるほど。中国でマーダーミステリーゲームが大ブレイクするきっかけになったと言う番組ですね。

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そうですね。この番組がきっかけで大きく広がったと思います。
しかしゲームをプレイしていると「嘘をつけないならこの秘密を隠すことは出来ないよね?」と言う局面に何度も出会いました。

酒井りゅうのすけ

ふむふむ。

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そこで私はこの状態をゲーム的にどう言うことか考えた結果”嘘が付けないから渋々白状する事がロールプレイの誘導”になる。と言う風なゲームデザインではないかと考えました。

酒井りゅうのすけ

なるほど!つまりそのシーンがそのキャラクターの見せ場になる様なイメージですね。

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そうです。そして一緒にゲームを作ってる仲間もその理由に納得してくれました。しかし、実際には全てのプレイヤーが嘘を付けることがマーダーミステリーにおいてのスタンダードだった。これは中国のプレイヤーと意見交換して発覚した事実です。

酒井りゅうのすけ

「犯人以外は嘘を付けない」はテレビ用にカスタムされたルールだったんですね。

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そうなんです。テレビ番組は撮影スケジュールやONAIR時間の都合などいろんな制限があるので、ゲームを収束させやすくする為にそのルールを付加したのだと思います。そしてこの事実が発覚した時にすでに「約束の場所へ」はもう犯人以外は嘘を付けないと言うルールでデザインをして戻れない状態でした。

酒井りゅうのすけ

すでにその部分は「約束の場所へ」に組み込まれて完成してしまっていたんですね。

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そうなんです。そして日本のとあるボードゲームカフェにマーダーミステリー「王府百年」を紹介したのですが、その際にも「犯人以外は嘘を付けない」と言うルールで紹介してしまいました。

酒井りゅうのすけ

テレビ番組から生まれた誤解だったんですね。
その状態で日本全国に流通している「約束の場所へ」に嘘がつけないルールが付いたまま広がってしまったんですね。これは早く訂正していきたいですね。

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はい。。。マーダーミステリーにおいて「犯人以外は嘘を付けない」と言うのはとてもデザインとして歪んでしまっていると思います。この状態を招いた責任は私にあるので是非記事にしていただきたいです。本当に申し訳ないです。

酒井りゅうのすけ

Afongさんから直接お聞きできてよかったです。
もちろんシナリオ的な制限として組み込むのであればバランスが崩れない範囲でしたらありなんだとは思います。例えばあるキャラクターが「あなたは正直者でゲーム中に嘘を付くことは出来ません。」と言う様な設定を渡されるとかは良いかと思います。

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まさしくそうですね。そうでなければ、本筋と関係のないところでうっかり意図せず嘘をついてしまいそれがバレたプレイヤーに対して「アナタさっき嘘をついたよね?だから犯人です。終了。」と言うメタゲームで推理とは関係のない所で終わってしまいます。

酒井りゅうのすけ

犯人以外は嘘を付けないと言うルールではプレイヤーはロールプレイよりも、発言の矛盾を探すことに集中するゲームになってしまいますね。

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それはもうマーダーミステリーの本質とは違う形になってしまいます。やはり自由に発言できなきゃいけないし、意味のない嘘を言ってもいいし、嘘がバレても「嘘ついてました!」で物語が終わらない様にならなければいけない。現実の世界がそうですからね。

酒井りゅうのすけ

とても大事なお話をお聞きできました!ありがとうございます!!

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こちらこそ、ツイッター等では少し発信しているのですがしっかり記事にまとめてもらえてありがたいです。本当に大きな誤解を広めてしまい申し訳ありません。

酒井りゅうのすけ

また是非、マーダーミステリーの中国での動きなどもお話を聞かせてください!

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はい!プレイ中のマナーの事など現場で起こっている事などでお話出来ることも沢山ありそうですのでよろしくお願いいたします。

「犯人以外は嘘を付けない」と言うルールは、テレビ番組用のルールから生まれた勘違いの歪みだった様です。

つまり基本的にはマーダーミステリーは全てのプレイヤーが自由に嘘を付くことができます。しかし犯人以外のプレイヤーにとって一番大事なことは真実を明らかにする事です。自身の目的の為にやむなく嘘を付く事もあるかとは思いますが、その嘘が犯人にとって逃げやすい隙間になる可能性、そして嘘がバレた時にアナタ自身が疑われると言うリスクも理解した上で嘘のあるマーダーミステリーを存分に楽しみましょう!!

MOAIDEAS GAME DESIGN

全国発売されたマーダーミステリー「約束の場所へ」や、店舗限定のマーダーミステリーシナリオ「業火館殺人事件」等を取り扱う台湾のボードゲームメーカー。もちろんマーダーミステリー以外にもボードゲームも多数取扱っている。

公式ツイッター(日本語)

ryunosuke

物語の世界に対する「没入感」という感覚が好きで、演劇を作ったり、テーマパークのアトラクションを作ったりしています。 ボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」 マーダーミステリー専門スペース「Rabbithole」 演劇ユニット「聖地ポーカーズ」
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